デジタルディバイドからメディカルディバイド、メディカルポリティクス、そしてメディポリティクスへ From Digital Divide to Medical Divide, Medical Politics and Medi-Politics

デジタルディバイドからメディカルディバイド、メディカルポリティクス、そしてメディポリティクスへ

 From Digital Divide to Medical Divide, Medical Politics and Medi-Politics

(1つ前の投稿と同じようなタイトル、同じような書き出しですが)デジタルディバイド(digital divide. 以下「DD」ともいう。)という概念は皆さんよくご存じで改めて説明するまでもないでしょう。簡単に要約すれば、IT技術等の利用可能性の差が、個々人の現在の生活水準、教育水準、ひいては将来の収入も左右してしまう。国と国の間でも同じようなメカニズムで格差が生じてしまうといった意味です。オンライン授業やオンライン医療が不可欠な現状、デジタルディバイドが、ここまで身近な、現実的なリスクとして意識されたことはなかったのではと思います。そのDDに加え、今後はメディカルディバイド(medical divide. 以下「MD」ともいう。)というキーワードが流行るだろうと予測しています。すでに医療格差という言葉は、例えば「大都市と地方の医療格差」といった用法で、よく見かけるし、「先進国と途上国の間の医療格差」を課題として掲げる開発学の分野の論考も沢山見かけます。英語ではmedical disparityという表現の方が定着していますが、ポストコロナショックの世界ではdigital & medical dividesと並び称されるのではないでしょうか。

メディカルディバイド、MD、すでにG7等の国際会議でも深刻な問題として明確に認識されつつあるようです。現時点で、欧州のうち南欧州諸国(イタリア、スペイン及びフランス)が新型コロナウイルス感染拡大の影響をより多く被っており、北欧州諸国がそれほどでもない、という形で先進国内部のMDが表面化していますが、これが先進国対途上国でより深刻な形で立ち現れれば、財政状況の悪い国 → 医療水準の低い国 → コロナの影響をより受けやすい国 → 財政状況がさらに悪化 → より医療水準が低下 → コロナ第2~∞波又はポストコロナ新型ウイルスの影響をより受けやすく → ・・・・と負のスパイラルが回り出し、先進国対途上国の格差は、今後埋めることの不可能な永遠の格差として固定化されてしまうおそれすらあります。

上記の格差問題は、単に公平感や正義感に係るというだけでなく、世界の一部でもコロナや今後の新型ウイルスに脆弱な国・地域が残る限り、他の国々にも再び第2~∞波が及ぶ可能性があるという意味で、現実かつ実務的な問題と理解すべきでしょう。だからこそ新型コロナウイルスの世界的な感染拡大防止や感染拡大後の収束に向けた対策は、1つの国に閉じた個別問題でなく、全世界的な人類共通利益に係る問題として浮上してきている。こんなタイミングで、薬や医療機器を囲い込んだり、技術の奪い合いをしているのは、人類存亡の危機をどんどん手元に引き寄せる所業と言わざるを得ないと思います。中国が現在進めている「マスク外交」と揶揄される戦略が、そうした「人類共同体」的な発想に基づくものなのか、感染拡大の震源地となってしまい大きく損なわれた自国のイメージやメンツを回復するためだけの自己利益に基づくものなのか、しっかり見極める必要があります。

タイトルには、もう1つ見慣れない用語、「メディカルポリティクス(medical politics. 以下「MP」ともいう。) 」を加えています。従来もmedical politics という用語を用いる学術論文は2,3本見られます(もっとあるかもしれません。ご存知の方はご一報ください!)が、そこでは主に「医療分野における経済・産業政策をめぐる政治」といった意味で定義され、例えば、政治家、医薬品・医療機器メーカー、医師会・病院といった利益集団間の資源配分をめぐる政治を念頭に置くものでした。例えば、

G A Silver, “Medical Politics, Health Policy. Party Health Platforms, Promise and Performance” International Journal of Health Services, 6(2) (1976): 331-43. doi: 10.2190/D4TU-1034-TAB1-M2L6.

BJJ Abdullah & KH Ng, “Medical Politics” Biomedical Imaging and  Intervention Journal. 2007 Jul-Sep; 3(3): e11. doi: 10.2349/biij.3.3.e13

を挙げることができます。

しかし、ここで提案するmedical politicsは、「医療問題や医療専門家によって経済・産業政策が左右される政治」と定義されます。つまり検討対象となる経済・産業政策が、前者では医療分野に限定されていたのに対し、後者では医療分野を超えて、他の産業分野に関する政策やマクロ経済政策を含めた検討が必要となってきます。

このMedical Politicsの概念の必要性を、非常に明確に意識させることになった現象というか映像が、2020年4月7日及び2020年5月14日の安倍首相による「緊急事態宣言」発出及び39県「緊急事態宣言」解除記者会見です。両記者会見では、安倍首相による冒頭説明の後、記者からの質問に答える時間帯があったのですが、その時間帯に、感染症の専門家らでつくる組織「新型インフルエザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会」の尾身茂会長が首相のすぐ左にずっと同席し、いくつかの質問に対しても実際に回答・応答していらっしゃいました。

首相と専門家諮問委員会会長、つまり政治家と医療専門家が、国全体を大きく左右する政策について発表する記者会見の場に並び立っている映像、これがまさにmedical politicsの概念を言葉以上に力強く描写していると思います。例えば、後者の解除記者会見において首相自身、自分のいくつかの発言の後に、「それでよかったですね、尾身座長?」などと何度か確認を求め、自分の政策判断の正当性、客観性を確保しようと努めていました。

類似の象徴的な現象として、米国のトランプ大統領の新型コロナウイルス感染拡大対策に関する定例記者会見に、アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長が毎回同席していた映像を挙げることができます。

地政学(geopolitics)という用語はかなり定着してきていますが、以上のMDとMPの問題が国際政治の舞台で絡み合う現象が増え、今後は医政学又はメディポリティクス(Medi-Politics)という用語が使われるようになるかもしれません。WHOをめぐる現在の米中の駆け引きが、ある意味、不幸な形でのメディポリティクスの幕開けなのかもしれません。

(追記1)メディポリティクスを予感させる記事の一例として、以下を挙げることができます(2020年5月31日追記)。

エリン・マーフィー(インレー・アドバイザリー・グループ代表)「米・アジア連携、医療外交がカギ」  日本経済新聞2020年5月2日朝刊8頁

(追記2)原油価格が下落し、マラッカ海峡の戦略的意義や中東紛争の世界経済への影響が低下し、いわゆる地政学(ジオポリティクス)的判断の重要性が後退しているように見えるなか、メディポリティクスの影響がますます重要となるのでは、と感じます(2020年5月31日追記)。

カテゴリー: 米国, 日本 | タグ: , , , , , | 1件のコメント

リスクヘッジからリスクドレッジへ From Risk Hedge to Risk Dredge

リスクヘッジからリスクドレッジへ

From Risk Hedge to Risk Dredge

リスクヘッジという言葉は皆さんご存知で説明は不要だと思いますが、これからむしろリスクドレッジ(risk dredge)という言葉が流行るのでは、との予想を立てています。これはリーマンショック時にも起きた現象のようで、現在のコロナショックではさらに深刻な形で、それが進行しているようです。本現象、適切な用語が存在しない(と見ているのですが、すでに人口に膾炙した表現があることをご存知の方は、是非コメント欄でご一報ください!)ようですので、この際、リスクドレッジ(risk dredge)と命名してしまいます。以下、その解題です。

現在のコロナショックでは、積極的なグローバル展開をしていた企業であればあるほど、広範かつ深刻な悪影響を被っていると観察しています。従来は危機があっても、欧州のみ、ラテンアメリカのみ等と限定されていたので、欧州で稼げなくても米国がある、ラテンアメリカが危なくてもアフリカがあると、幅広くグローバル展開することがリスクヘッジになっていたと理解できます。他方、今回のコロナショックは全世界に文字通り「蔓延」しており、世界金融危機の性格の比較的強かったリーマンショックよりも、明らかに地理的な影響範囲は広いですし、1930年代のほぼ欧米、せいぜい日本と中国に影響が限定された「世界」恐慌(この点はもしかすると異なる評価がありうるかもしれません)よりも、さらに広く、東・東南・南アジアから、ロシア(30年代はソ連)、ラテンアメリカ、アフリカをも巻き込みつつあり、本格的なグローバル時代ならではの、文字通りの「世界」恐慌になりかねない。この状況では、積極的なグローバル展開が、リスクヘッジになるどころか、逆に世界中のあらゆるビジネスが企業の屋台骨をも揺るがしかねない巨大なリスクになっている、つまりリスクの泥を総浚いしてしまう「リスクドレッジ(risk dredge)」に陥っているのでは、というのが私の見立てです。

この現象は、すでに金融市場でも、投資信託のうちリスクヘッジがうたい文句であった世界・債券・株式等の分散型が総崩れになっているという形でも進行しているようです。実体経済に目を向けても、グローバルにユニクロを展開してきたファーストリテイリング社の柳井正会長兼社長が「世界全体がつながっていた」と認識したという非常に印象深い表現(柳井氏の手元には、世界中のあらゆる経営指標が、コロナ感染拡大をトレースするかのように、かつ極端に悪化していくデータが日々届けられていたのでしょう。この表現は、その体験を如実に語っており、おそらく歴史に残る言葉だと思います)で、この現象を描写しています(日本経済新聞2020年4月10日朝刊10頁)。さらに、トヨタ、日産、ホンダ等の自動車メーカーの窮状を見るに、生産面(部品調達)と販売面(市場)の両面で積極的なグローバル展開(前者がいわゆるグローバルサプライチェーン)を進めてきた企業であればあるほど、その現象の悪影響は甚大になっている、と総括できます(こちらは引用するまでもなく、巷に情報が溢れています)。

この現象とそれを実体験した強烈な企業内記憶が、2つ前の投稿における「国際経済法の危機」につながっていくだろうと、おそらく容易に想像できるでしょう(もしや池上彰氏風の文体になっている?)。

カテゴリー: 米国, EU, 国際経済法, 日本, 中国 | タグ: , , , , , | コメントをどうぞ

国際経済法の規律分野毎の不均等発展

1つ前の投稿で、国際経済法の分析枠組みが現状を分析するために非常に役に立つのでは、といった一種の宣伝文句を書きましたが、その分析枠組みの特徴をちょっとだけ紹介します。

その特徴を説明する際、よく思い出す印象的なエピソードがあります。2014年12月、ある国際会議に参加するためブリュッセルを訪問した際、現在RCEP交渉で大活躍されているT氏のご紹介で、やはり現在大活躍されているF氏が、欧州委員会内で国有企業問題を担当している方とのインタヴューをアレンジしてくれました。同インタヴューは、自分が何年か取り組んでいる問題と同じテーマで頭を悩ませている人と地球の裏側で巡り会えた、研究者として大変貴重かつ幸せな体験であったので、T氏、F氏にいまだに感謝しています。

そのインタヴューで彼女が非常に興味深い発言をしたことを私はいまだに鮮明に覚えています。

「国際経済法は何でこんなに分野毎にバラバラなの?競争法ではどの市場でも同じルールを適用し、同じ分析枠組みなのに・・・」

彼女が元々欧州委員会競争総局(DG Comp)のスタッフであったことは、質問の内容から自明でしょう。この質問の意味は、国際法分野から国際経済法にアプローチした研究者でも、国内の経済法、競争法をよく知っている研究者でも、ピンとこないと思います。他方、私は競争法の分野から出発して国際経済法の分野に参入した研究歴を持つ人間なので、彼女の言わんとすること、特に国有企業問題に取り組む過程で直面したであろう国際経済法の複雑怪奇な様相が、彼女の目線からどう見えたのか一瞬で理解できました(彼女が直面したこの複雑怪奇な様相の一端は、さしあたり拙稿「自由市場国と国家資本主義国の衝突と貿易摩擦」国際経済67号(2016年)1-24頁の16頁以下をご覧頂ければ、垣間見えるかもしれません)。

前の投稿で触れた「国際経済法の規律分野毎の不均等発展」、これが彼女の質問に対する、答えになり切っていない、一応の説明です。なぜそうなっているのかは、ある意味、一人の研究者が一生かかっても解決しきれないくらいの大きな研究テーマかも知れません。ただ、両分野の違いの根本には、競争法が国境をできるだけ意識せず、市場をとらえようとする傾向がある(いわゆる「効果理論」がその典型例でしょうか)一方で、国際経済法がその国境をむしろ規律の対象として強く意識しながら、グローバル市場の形成を促進しようとする傾向を持つ、という(必ずしも明示的に意識されていないけれど、実は非常に)対照的な性格を持つ法分野であることが大きく関わっていると予測することができます。

その「国際経済法の規律分野毎の不均等発展」を図解したのが、前の投稿で紹介した山形英郎編『国際法入門[第2版]』(法律文化社、2018年)247頁の表1となります。同じ頁の末尾の「このように国際経済法は、規律分野ごと、不均等に発展している。」との一文、初版(2014年)245頁の段階からしっかり入っていました。

ちょっとだけ紹介するつもりが知らず知らず長文となってしまいました。結論がはっきりしない文章ですが、今日はこの辺で。

カテゴリー: 独占禁止法, 神戸大学, EU, TPP, WTO, 国際経済法, 国有企業, 中国 | タグ: , , , , | 3件のコメント

国際経済法の危機、或いは危機における国際経済法の分析枠組み

国際経済法の危機、或いは危機における国際経済法の分析枠組み

International Economic Law at Crisis or Analytical Framework of International Economic Law at the Time of Crisis

先週5月7日、神戸大学法学部・研究大学院・法科大学院(LS)の前期が正式に開始されました。私も5月11日(月)は学部ゼミ、12日(火)は大学院ゼミ、13日(水)はLSの講義をいずれもZoomライブ会議方式で実施したところです。4月中に大分接続テスト等を経た上での本番だったので、この段階では非常にスムーズに開講することができました。

学部のゼミでは「コロナショックと国際経済法上の課題」と題し、学生の皆さんが持ち寄ってくれた記事や情報を画面共有で紹介してもらいながら、1)今回の危機で、どんな企業が最も影響を受けているか?それは何故か?2)今回の危機で、どんな国・地域・都市が最も影響を受けているか?それは何故か?といった問題について討論しました。皆様なら、これらの問題に対し、どのような回答を与えるでしょうか?討論は11日だけで終わらず、来週に持ち越すことになりました。全体討論だけでなく、ゼミ生の中には、コロナショック後、米中覇権争いはどうなるのか、中国の一帯一路はどうなるかといったテーマに取り組む人もいるので、これに関係する討論は、今後も続くことになります。

他方、本日13日(水)午前のLS講義では、国際経済法の対象範囲について、山形英郎編『国際法入門〔第2版〕』(法律文化社、2018年)247頁所掲の「表1  国際経済法の規律対象範囲」を共有画面に示して、物の移動、サービスの移動、資本の移動、人の移動といった分野毎に国際経済法の規律が不均等に発展してきている現状を、ホワイトボードでの図解も交えながら紹介しました。その中で今回の新型コロナウイルス感染が急速かつ世界的に拡大した原因の暫定的な分析やその分析に基づく暫定的な展望についても、学生と意見交換しました。

詳細は割愛しますが、暫定的に得られた結論が冒頭に掲げた本投稿のタイトルです。

国際経済法の危機、或いは危機における国際経済法の分析枠組み

前段の「国際経済法の危機」は比較的想像しやすいと思います。グローバル化を促進してきたWTO法等の国際経済法は、今回のコロナショックによって深刻な危機、岐路に直面しているといった意味です。ここでの国際経済法にはEU法も含まれます。従来の枠組みが完全にとん挫したり、そこまでいかなくても国際経済活動の自由化が従来よりも進まなかったりする分野は多数出てくるでしょう。これをSW Episode V風に表すとしたら、次のような標語となります。

States and Borders Strike Back.

他方、後段の「危機における国際経済法の分析枠組み」はどうでしょうか。正直、簡単には伝えることが難しいですので、いずれ論文等で紹介したいと思いますが、上記山形編『国際法入門〔第2版〕』247頁所掲の「表1  国際経済法の規律対象範囲」のような分析枠組みをしっかり頭に入れて、今起きている現象を分析すると、これから起きるであろう事象も予測しやすくなるという意味です(結局「手前味噌」な話しです)。

その分析枠組みを用いて導かれた暫定的な予測は「経済成長から安全な経済へ」です。今後、国家は従来「経済成長」を志向するために採用してきた政策・戦略を、「安全な経済」を確保・維持するために、かなりの程度、妥協した形で調整するか、場合によっては完全に放棄するという、非常に厳しい政策判断に短期的でなく、中長期的に迫られるとの悲観的な予測です。現状の緊急事態宣言(及びその一部解除)に至る政策決定過程を目の当たりにして、既に多くの論者が指摘していることかもしれませんが、そのような予測が国際経済法の分析枠組みに依拠して考察しても十分に導かれるという点が、国際経済法学者としての貢献になるかと思います。

詳しいところはいずれ論文にまとめて説明したいと思います。さらに、上記のような悲観的な予測が実現してしまうのを回避するためには、いかなる戦略や政策が必要なのかも併せて検討する予定です(その戦略・政策の一部に関するKeywordはDFFTならぬPFFTなのですが、何の略か想像つきますか?)。まぁオンライン授業に向けた準備が終わった後も、その体制のメインテナンスに関わる仕事に忙殺されており、深夜だけが上記のような考察を行う限られた自分だけの時間です。

 

 

 

 

カテゴリー: 神戸大学, EU, 国際経済法 | タグ: , , , , , , , , , , | 3件のコメント

キャンパスは無人だ。でも大学は止まらない。Nobody is on Campus, but University Never Stops.

DSC_1889     キャンパスは無人だ。でも大学は止まらない。

    Nobody is on Campus, but University Never Stops.

神戸大学遠隔授業について

Never Stop: the University of Auckland, NZ

The learning should never stop: Queen’s University, CA

Learning never stops – tell UNESCO how you are coping with COVID-19 school closures

カテゴリー: 神戸大学, 日本 | タグ: , | コメントをどうぞ

【神戸大学法学部・法学研究科】オンラインゼミ・オンライン講義、始めました!

久しぶりの投稿になります。かれこれ2年半、すいません、間が空きすぎました。この間、本ブログとして紹介・フォローすべきで、できていなかったこととして、少なくとも、
①自分の公正取引の中国独禁法連載(2017年11月号から2018年12月号まで)(自己紹介ページにもアップできていない・・・)、
②中国独禁法執行体制の大幅な変更(3部門の執行分担体制から国家市場監督管理総局による統一執行体制へ。同独占禁止法局ウェブサイト)及び
③中国独禁法改正法案(2020年1月2日、市場総局公告

の3つがあります。

それらはおいおい本ブログの各ページの情報を更新することでカバーしたいと思いますが、それはともかく、本日は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急対応として、神戸大学法学部・法学研究科がオンライン講義を始めたことをご報告したいと思います。同対応の一環として、2020年度前期は5月7日開始に後ろ倒しされましたが、その間、本研究科の先生方の多大なる準備のお蔭で、なんとか同日からオンライン講義(例 Zoomライブ講義方式や事前録画・録音オンデマンド方式等)を開始するめどが立ちました。

自分が担当している科目だけ紹介しますと、

① 学部3・4年次演習「国際経済法」(次回「コロナショックと国際経済法上の課題」について討論予定)
② 大学院「実定法学特殊講義(国際経済法)」(通称「中国独禁法ゼミ」)
③ LS「国際経済法」(WTO法の基本についての講義ですが、上記のコロナショックにも触れる予定です)

以上の3科目については、すべてZoomライブ方式で実施します。いずれの科目も、接続テスト、プレゼミ、第1回講義等、それぞれ名目は異なりますがは、実質的に開始済みです。

大人数講義ですと、個人情報保護やZoom荒らし等の問題があり非常に神経を使いますが、少人数の場合、Zoomは非常に使い勝手が良いという印象です。PC画面の共有で、PDFやワードを表示し、かつ、話している部分をカーソルで明示しながら、説明ができるのは、通常の授業やゼミ以上に教育効果が上がると感じていますし、ホワイトボードを使って板書もでき、そこに学生が直接書き込んで質問してもらったり、ゼミ生間で意見交換するのにも大変便利です。なお、①の学部ゼミでは、従来からの「効果的なプレゼン方法や建設的な議論の仕方を身に着ける」という到達目標に加え、「(今後社会に出た際に必須になると予想される)Zoom等オンライン会議のリテラシーを身に着ける」という到達目標を追加しました。

例えば、上記②の通称「中国独禁法ゼミ」(日本広しといえども、中国独禁法に特化したゼミがあるのはウチだけだと思います!)の昨日のセッションでは、ワードを使って、1月2日に公表された中国独禁法改正法案と現行法の比較ファイルを各自作成してもらい、改正点を整理するとともに、その改正がどういう意味を持つのか1つ1つ確認しました。その前提として、前回のセッションで、上記の比較手順を画面共有して、具体的にてほどきする際に、Zoomは非常に便利だと実感しました。昨日も例えば、第1条の目的規定に挿入された「鼓励創新」という文言の背景として、「自主創新」という概念・スローガンに触れるタイミングがありましたが、すぐにネット上の情報を画面共有できるので、非常に効果的な教育ができるのでは、と感じ始めています。

と、コロナ問題で暗いニュースが続いていますが、悪いことばかりでもない、「オンラインになって、むしろより効果的な教育ができるのでは!」との期待に胸膨らまして、手放しで高く評価しているように書いてきましたが、1つ大問題が・・・巷でも話題になっている「Zoom疲れ」です(Twitterでハッシュタグ立ってます。英語でもZoom Fatigueと呼ぶらしい・・・)。

昨日午前は10~11時半まで学内打ち合わせ、11時半から12時半まで学内FDとまさに「Zoomはしご」。午後も15:45~17:40頃まで上記の中国独禁法ゼミ、約50分の休憩をはさんで、18:30~20:00までTLP中国法務Ⅱ」(アンダーソン・毛利・友常法律事務所の中国法チームの先生方によるオムニバス講義)のコーディネータ参加と、1日でなんと6時間も「Zoom漬け」でした。ちょうど3週間前、午前は学会関係Zoom会議で1時間、午後も研究科内会議で4時間、計5時間Zoom漬けで、終わった後めまいがした日がありましたが、昨日はその記録を軽く抜きさりました。終わった直後に、どっと疲れが来て、帰宅後、崩れるように寝床につきました。

ここのところZoomという新しい武器を手に入れ、「Zoomer’s high」状態が続いていたので、その反動が来た印象です。このテンションで前期を突っ走れるとは到底思えませんので、初めてのオンライン講義、最後までしっかり続けられるよう、これからは低空安定飛行でやってみようと思っています。

以上、近況報告及び長い沈黙のお詫びを兼ねまして。

カテゴリー: 独占禁止法, 神戸大学, WTO, 日本, 中国 | タグ: , , , , , | 2件のコメント

ポリ塩化ビニル価格カルテル事件処分決定書公表

国家発展改革委員会は、2017年10月16日、ポリ塩化ビニル価格カルテル事件の処分決定書(国家发展和改革委员会行政处罚决定书〔2017〕3~20号)を公表しました。

カルテル組織者と認定された2社の決定のみ直リンクを貼ります。

湖北宜化集団有限責任公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕3号)
中塩吉蘭泰塩化集団有限公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕4号)
(その他はこちらからどうぞ

18社に対する決定書は、いずれもPDFにすると2ページ程度の簡単なものです。上記でリンクを貼ったカルテル組織者については2016年度関連市場の売上高の2%の制裁金、他の16社は同1%の制裁金が課されているのは、既報(2017年9月30日投稿)のとおりです。いずれについても「調査過程で積極的に協力し、事実をありのままに陳述した」と認定されており、その点も考慮して1~2%の課徴金が算定(独禁法49条)されています。

カルテル形成過程と実施態様(価格引上げ幅等)はかなり具体的に認定されており、例えば、各カルテル参加者がウィーチャットグループメールを通じての言動(組織者が価格執行表を送って提案した、その他の参加者が「価格OKです」、「皆さんの意見を支持します。一致して行動しましょう!」等と反応した)が、生々しく記載されています。処分書によれば、物理的な会合で価格についても議論したようですが、最終的にウィーチャットメール等の電子通信の方式でカルテルを形成したと認定されていると理解できます。

なお、名宛人の一部(処分書番号第第4、6、8~13号)は陳述・抗弁をしていますが、いずれもしりぞけられています。例えば、第11号の新疆中泰化学は、自社の価格は市場規律によって主導されており、関係スタッフがウィーチャットグループメールで発言したのは個人の行動であると抗弁しましたが、発展改革委は、同人は同社の主要な責任者であり、その発言は職務行為に属するとして、抗弁をしりぞけています(第8号の鳥海市本原経貿についてもほぼ同様のやり取りあり、第6号のオルドス市君正能源化工については類似のやり取りあり)。

前の2つの投稿(2017年9月28日同30日)では、本件処分が「供給サイドの構造的改革」という大きな政策文脈に位置づけられていることを紹介しましたが、処分書自体にはその点の言及は出てきませんでした。

10月より神戸大学に復帰しました。引き続きよろしくお願いいたします。

カテゴリー: 独占禁止法, 中国 | タグ: , , , | コメントをどうぞ

ポリ塩化ビニル価格カルテル事件(続報)

1つ前の投稿(2017年9月28日)で紹介したポリ塩化ビニル価格カルテル事件の処分決定書は、まだ公表されていませんが、同事件について詳しい報道(「4.57亿元!国内企业价格垄断最“贵”罚单落地」2017年9月28日)が出ましたので、続報です。

1.1つ前の投稿では、「国内事業者に関する案件としては比較的大きな億単位の制裁金が課され」たと紹介しましたが、発展改革委価格監督検査・独占禁止局局長の張漢東氏の発言により、独禁法施行の9年間で、価格法執行部門が国内企業に課した最大の制裁金であることが明らかとなりました。多分そうではないかと思っていましたが、事件処理に関する情報が完全には公開されていないので、断言できずにおりました。

2.同じく1つ前の投稿では、「本件違法行為が・・・供給サイドの構造的改革を推進するのにも不利である点が挙げら』ていると指摘しましたが、発展改革委は本件を一種の見せしめ案件と位置づけているようで、同局長は「落伍生産能力を淘汰し、供給サイドの構造的改革を推進する過程において、法執行機関は価格独占合意を形成することで『団結して暖を取る』行為を厳しく取り締まる」ことを警告する事件だと位置づけています。同局独占禁止第2処処長の徐新宇氏(8月末の中国競争政策論壇で川島と同じセッションで報告していた人です)も、ポリ塩化ビニル産業が生産能力過剰業種であるに注意を要する、(ポリ塩化ビニル以外に鉄鋼、製紙、セメント、電力等を挙げ)同様の問題は過剰生産能力業種に蔓延している形跡があると発言したとのことです。製紙では、本ブログで紹介した杭州市富陽区製紙協会事件が、電力では、本ブログでは未紹介ですが、山西省で既に処分された事例がそれぞれあります。上記発言は、さらに鉄鋼やセメントでも今後、取り締まりが続く可能性を示唆しており、中国独禁法の今後を占う上で重要な発言だと思います。。

3.本件調査の端緒となった通報は、川下産業の事業者団体からのものであることが明らかとなりました。原材料コストが数百元単位で上昇することが正常であるところ、2016年7月から毎月平均1000元単位で上昇したことに対しユーザー企業が疑いを抱き、これを受け中国プラスチック加工工業協会が、コスト変動に影響を及ぼす多くの要素の中でも、「西北クロールアルカリ連合体」に目を付けていたところ、昨年12月23日に同連合体の第6回会合が開催された3日後、同協会が、発展改革委価格監督検査・独占禁止局に対し「ポリ塩化ビニル樹脂価格の異常波動情況に関する調査申請書」を提出したとのことです。

4.本件調査の証拠録取に参加した担当官が「ウィチャットメールの発言で、一部の関係企業はグループ名を『一致行動価格調整グループ』に変更しようと提案しており、企業が共同して価格を調整しようとの目的が非常に明確である」と発言したとされています。これ以外にも、2016年6月12日8時4分にある企業の責任者が、価格カルテルに反対の立場を表明したことも紹介されています。本件で関係企業の担当者のスマホが押収されていることが窺えます。。

5.本件カルテルでリーダー格の湖北宣化集団有限責任公司、中塩吉蘭泰塩化集団有限公司の2社は、2016年の関連市場の売上高の2%の、他の16社は同じく1%の制裁金が課されたとのことです。

この報道は、2017年7月のイソニアジド原料薬事件2017年9月11日投稿で紹介済み)や(上記の)同8月の山西省電力事件等に続き、本件は、2017年に入り、国内企業の価格独占行為を調査処理した案件として5件目であると紹介しています。さらに、上記の徐処長が、独禁法施行後の9年間の統計によれば、国外企業に対する処罰は10%未満に過ぎず、大部分が国内企業であると述べたことも紹介されています(ただし、この統計は被処罰企業数に基づくものと考えられます。制裁金額で統計を取ると、クアルコム事件であまりにも高額な制裁金が課されているので、国内外が逆転してしまいます。この点については、2015年の拙稿「中国独占禁止法の運用動向―「外資たたき」及び「産業政策の道具」批判について―」RIETI Discussion Paper Series 15-J-042, 22頁をご覧ください。)。

本件は、独禁法執行が、供給サイドの構造的改革という大きな政策文脈において、重要な役割を担っていることを示唆するもので、「習近平政権の競争政策」を理解する上で非常に重要な素材であることを感じさせます。山西省電力事件も、そうした重要な素材の1つと考えられるため、注目していましたが、8月は中国競争政策論壇等の準備が集中してしまい、本ブログでは未紹介となっています。できるだけ早く紹介したとと考えています。

本日9月30日、1年間過ごした上海を離れ、日本に帰国します。上海交通大学の先生方やスタッフの皆さんには大変お世話になりました。帰国後も、中国独禁法の動きを追いかけていきたいと思います。

カテゴリー: 独占禁止法, 中国 | タグ: , , , | 1件のコメント

ポリ塩化ビニル価格カルテル事件処分決定(18社合計4.57億元)

2017年9月27日、発展改革委員会は、18社のポリ塩化ビニル製造販売会社による価格カルテル事件について調査処分(制裁金:18社合計4.57億元、1元=約17円のレート換算で約77.69億円)した旨公表しました(18家聚氯乙烯树脂经营者实施价格垄断被依法查处)。価格カルテルの形成・実施の経緯に関する部分を抜粋しますと以下の通りです。

・・・以下、抜粋・・・
2016年3~12月、18社は「西北クロールアルカリ連合体」の名義で、前後6回の会議を開催し、市場状況について交流し、生産量販売量について討論し、かつ微信(ウィチャット)グループメールを通じて13回にわたり価格独占合意を形成し、ポリ塩化ビニルの販売価格を共同して引き上げた。そのうち、湖北宣化集団有限責任公司、中塩吉蘭泰塩化集団有限公司は、それぞれ「秘書長単位」及び「理事長単位」として、「西北クロールアルカリ連合体」の6回の会議を先頭に立って組織し、ウィチャットグループメールを通じて、何度も主導的に価格引上げを提案し、本件において主導的役割を担った。その他の16社は「西北クロールアルカリ連合体」会議に参加し、かつウィチャットグループメールにおいて返信し、上記リーダー2社の価格引上げ提案を支持した。実際の販売過程において、すべての関係企業がいずれも形成された独占合意を実施した。
・・・以上、抜粋おわり・・・

注目点は以下の通りです。

1.国内事業者に関する案件としては比較的大きな億単位の制裁金が課されています。これはポリ塩化ビニルが建築建材、医療機器、家電等と幅広く使われる汎用品であるため市場規模が大きいこと、当該市場の4分の3を占める18社が本件カルテルに参加していたこと等が背景となっています。

2.本件調査は、通報を受けて開始したと紹介されているため、少なくともリニエンシー申請を端緒とするものではないと考えられます。ただ、調査開始後にリニエンシー申請をした企業がいたかもしれません。これは処分決定書が公表されてから、改めて確認したいと思います。

3.抜粋で見られるように、本件では物理的会合において生産量販売量について情報交換がなされていたものの、最終的な価格カルテルはウィーチャットグループメールによって形成されたと認定されているようです。抜粋からは、リーダー企業2社が「この価格まで引上げよう」との提案メールを送ったのに対し、16社が「賛成です!」といった反応を返す様子が生々しく想像されます。ここから思い出されるのは、医薬品ガイドライン案第3条に「独占合意を形成する形式は、明示でも、黙示でもよく、書面、口頭、電子メール、ウィチャットメール、ショートメール等の方式で形成される独占合意を含むが、これらに限られない。」とのかなり具体的な規定が置かれていたことです(2017年9月12日投稿参照)。おそらく、同ガイドラインの起草中に、本件の調査が進行中で、ウィチャットメールによる価格カルテル形成も具体例に加えようという運びになったのだろうと推測されます。

4.公表文では、本件カルテルの問題点として、川下企業のコスト負担の増加、消費者の合法権益の侵害に加え、本件違法行為が市場競争秩序を損ない、市場化、法治化の手段を通じ供給サイドの構造的改革を推進するのにも不利である点が挙げられています。供給サイドの構造的改革は、中国中央政府の重点政策ですが、この用語が独禁法の具体的処分事例に即して用いられたのは、これが初めてではないかと思います。こうしたより大きな政策文脈が独禁法の運用に何らかの影響を及ぼすのかどうか注目していきたいと思います。

昨日27日は短い公表文のみでしたが、本件は発展改革委自身が処分した事例なので、いままでの慣行に照らすと、近日中に処分決定書が公表されるのではと思います。公表されたら、本件のより詳しい内容について紹介したいと思います。

カテゴリー: 独占禁止法, 中国 | タグ: , , | 1件のコメント

企業結合審査弁法改正案(続)

2017年9月8日に公表された企業結合審査弁法改正案について続き、というか訂正です。

同日の投稿では、「支配権」の定義に関し、

《企業結合届出に関する指導意見》(2014年6月6日)第3条に盛り込まれていた「支配権」に関する規定が取り込まれ(第6~8条)、かつ若干修正拡充されています(例えば、第7条第5号で取締役会等についても歴史的な表決状況を考慮、下記の第8条等)。

と紹介したのですが、大事な点が漏れており、「若干」修正拡充というのはややミスリーディングでした。

商務部独占禁止局「企業結合届出暫定弁法(意見募集稿)」(2009年1月20日)第3条第1項第2号は、支配権取得の1つの類型として、「他の事業者の 50%以上の議決権付株式又は資産を取得していなくても、議決権付株式又は資産の取得及び契約等の方式を通じ、他の事業者の1名以上の取締役会構成員及び中心的管理人員の任命、財務予算、経営販売、価格決定、重大な投資又はその他の重要な管理及び経営方針等を決定することができること。」を挙げていましたが、2010年1月1日施行の「企業結合届出弁法」では、この規定が削除されました。

しかし、同局が2014年6月6日に公表した届出指導意見第3条第2項は、支配権取得の有無の決定は、「結合合意及び対象企業の定款が重要な判断根拠となるが、これが唯一の証拠ではない。結合合意及び対象企業の定款からは支配権取得が判断できないが、他の株主の分散等の原因から、実際上、当該事業者に事実上の支配権を付与する場合も、支配権取得に属する。支配権を取得するかどうかの判断に当たっては、通常以下の要素を考慮するが、これらに限られない。」と規定し、以下の考慮要素を列挙していました。

(1) 取引の目的と未来の計画
(2) 取引前後の対象事業者の株主構成及びその変化
(3) 対象事業者の株主総会の表決事項及びその表決メカニズム、並びにその歴史的な出席率と表決情況
(4) 対象事業者の取締役会又は監事会の構成及びその表決メカニズム
(5) 対象事業者の高級管理人員の任免等
(6) 対象事業者の株主、取締役の間の関係に、投票権行使の委託、又は一致した行動をする者が存在するか否か等
(7) 当該事業者と対象事業者に重要な商業関係、協力協定等が存在するか否か

2017年9月8日の企業結合審査弁法改正案第6条は、「他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に対し決定的な影響を及ぼすことができるか確定するに当たっては、事業者が他の事業者の表決権又は類似の権益を有する状況、及び他の事業者の高級管理人員の任免、財務予算、経営計画等経営方針決定及び管理に対する影響を考慮しなければならない」と規定しています。この下線部は、上記の2009年「企業結合届出暫定弁法(意見募集稿)」第3条第1項の下線部を(1名以上という基準以外)ほぼ復活させています。実務的には、これらの要因も考慮して支配権の取得が判断されているようですので、実務を大きく変更するというより、それを確認し成文化するものと位置づけるべきかと思います。

今回の弁法改正案第7条は、「他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に対し決定的な影響を及ぼすことができるか確定するに当たっては、取引合意及び事業者の定款等法律文書を主な根拠として、以下の要素を総合考慮する。」と規定し、以下のように上記の届出指導意見とほぼ同じ考慮要因を挙げていますが、指導意見の「(5) 対象事業者の高級管理人員の任免等」は、すでに第6条に挙げられているので、第7条では削除されています。

(1) 取引の目的と取引後の事業計画
(2) 取引前後の事業者の株式構成及びその変化
(3) 事業者の株主総会の表決事項及びその表決メカニズム
(4) 事業者の株主総会の歴史的な出席及び表決情況
(5) 事業者の取締役会、監事会又は類似の方針決定機構の構成、表決事項及び表決メカニズムと歴史的な表決状況
(6) 対象事業者の株主、取締役の間の関係に、投票権行使の委託、及び一致した行動をする者が存在するか否か等の情況
(7) 事業者の間に重要な商業関係、協力合意が存在するか否か
(8) その他の考慮しなければならない要素

以上、訂正及び補充でした。9月8日の速報コメントの方は、この投稿へのリンクを付けつつ、訂正したいと思います。

カテゴリー: 独占禁止法, 中国 | タグ: , , , | コメントをどうぞ