ポリ塩化ビニル価格カルテル事件処分決定書公表

国家発展改革委員会は、2017年10月16日、ポリ塩化ビニル価格カルテル事件の処分決定書(国家发展和改革委员会行政处罚决定书〔2017〕3~20号)を公表しました。

カルテル組織者と認定された2社の決定のみ直リンクを貼ります。

湖北宜化集団有限責任公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕3号)
中塩吉蘭泰塩化集団有限公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕4号)
(その他はこちらからどうぞ

18社に対する決定書は、いずれもPDFにすると2ページ程度の簡単なものです。上記でリンクを貼ったカルテル組織者については2016年度関連市場の売上高の2%の制裁金、他の16社は同1%の制裁金が課されているのは、既報(2017年9月30日投稿)のとおりです。いずれについても「調査過程で積極的に協力し、事実をありのままに陳述した」と認定されており、その点も考慮して1~2%の課徴金が算定(独禁法49条)されています。

カルテル形成過程と実施態様(価格引上げ幅等)はかなり具体的に認定されており、例えば、各カルテル参加者がウィーチャットグループメールを通じての言動(組織者が価格執行表を送って提案した、その他の参加者が「価格OKです」、「皆さんの意見を支持します。一致して行動しましょう!」等と反応した)が、生々しく記載されています。処分書によれば、物理的な会合で価格についても議論したようですが、最終的にウィーチャットメール等の電子通信の方式でカルテルを形成したと認定されていると理解できます。

なお、名宛人の一部(処分書番号第第4、6、8~13号)は陳述・抗弁をしていますが、いずれもしりぞけられています。例えば、第11号の新疆中泰化学は、自社の価格は市場規律によって主導されており、関係スタッフがウィーチャットグループメールで発言したのは個人の行動であると抗弁しましたが、発展改革委は、同人は同社の主要な責任者であり、その発言は職務行為に属するとして、抗弁をしりぞけています(第8号の鳥海市本原経貿についてもほぼ同様のやり取りあり、第6号のオルドス市君正能源化工については類似のやり取りあり)。

前の2つの投稿(2017年9月28日同30日)では、本件処分が「供給サイドの構造的改革」という大きな政策文脈に位置づけられていることを紹介しましたが、処分書自体にはその点の言及は出てきませんでした。

10月より神戸大学に復帰しました。引き続きよろしくお願いいたします。

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ポリ塩化ビニル価格カルテル事件(続報)

1つ前の投稿(2017年9月28日)で紹介したポリ塩化ビニル価格カルテル事件の処分決定書は、まだ公表されていませんが、同事件について詳しい報道(「4.57亿元!国内企业价格垄断最“贵”罚单落地」2017年9月28日)が出ましたので、続報です。

1.1つ前の投稿では、「国内事業者に関する案件としては比較的大きな億単位の制裁金が課され」たと紹介しましたが、発展改革委価格監督検査・独占禁止局局長の張漢東氏の発言により、独禁法施行の9年間で、価格法執行部門が国内企業に課した最大の制裁金であることが明らかとなりました。多分そうではないかと思っていましたが、事件処理に関する情報が完全には公開されていないので、断言できずにおりました。

2.同じく1つ前の投稿では、「本件違法行為が・・・供給サイドの構造的改革を推進するのにも不利である点が挙げら』ていると指摘しましたが、発展改革委は本件を一種の見せしめ案件と位置づけているようで、同局長は「落伍生産能力を淘汰し、供給サイドの構造的改革を推進する過程において、法執行機関は価格独占合意を形成することで『団結して暖を取る』行為を厳しく取り締まる」ことを警告する事件だと位置づけています。同局独占禁止第2処処長の徐新宇氏(8月末の中国競争政策論壇で川島と同じセッションで報告していた人です)も、ポリ塩化ビニル産業が生産能力過剰業種であるに注意を要する、(ポリ塩化ビニル以外に鉄鋼、製紙、セメント、電力等を挙げ)同様の問題は過剰生産能力業種に蔓延している形跡があると発言したとのことです。製紙では、本ブログで紹介した杭州市富陽区製紙協会事件が、電力では、本ブログでは未紹介ですが、山西省で既に処分された事例がそれぞれあります。上記発言は、さらに鉄鋼やセメントでも今後、取り締まりが続く可能性を示唆しており、中国独禁法の今後を占う上で重要な発言だと思います。。

3.本件調査の端緒となった通報は、川下産業の事業者団体からのものであることが明らかとなりました。原材料コストが数百元単位で上昇することが正常であるところ、2016年7月から毎月平均1000元単位で上昇したことに対しユーザー企業が疑いを抱き、これを受け中国プラスチック加工工業協会が、コスト変動に影響を及ぼす多くの要素の中でも、「西北クロールアルカリ連合体」に目を付けていたところ、昨年12月23日に同連合体の第6回会合が開催された3日後、同協会が、発展改革委価格監督検査・独占禁止局に対し「ポリ塩化ビニル樹脂価格の異常波動情況に関する調査申請書」を提出したとのことです。

4.本件調査の証拠録取に参加した担当官が「ウィチャットメールの発言で、一部の関係企業はグループ名を『一致行動価格調整グループ』に変更しようと提案しており、企業が共同して価格を調整しようとの目的が非常に明確である」と発言したとされています。これ以外にも、2016年6月12日8時4分にある企業の責任者が、価格カルテルに反対の立場を表明したことも紹介されています。本件で関係企業の担当者のスマホが押収されていることが窺えます。。

5.本件カルテルでリーダー格の湖北宣化集団有限責任公司、中塩吉蘭泰塩化集団有限公司の2社は、2016年の関連市場の売上高の2%の、他の16社は同じく1%の制裁金が課されたとのことです。

この報道は、2017年7月のイソニアジド原料薬事件2017年9月11日投稿で紹介済み)や(上記の)同8月の山西省電力事件等に続き、本件は、2017年に入り、国内企業の価格独占行為を調査処理した案件として5件目であると紹介しています。さらに、上記の徐処長が、独禁法施行後の9年間の統計によれば、国外企業に対する処罰は10%未満に過ぎず、大部分が国内企業であると述べたことも紹介されています(ただし、この統計は被処罰企業数に基づくものと考えられます。制裁金額で統計を取ると、クアルコム事件であまりにも高額な制裁金が課されているので、国内外が逆転してしまいます。この点については、2015年の拙稿「中国独占禁止法の運用動向―「外資たたき」及び「産業政策の道具」批判について―」RIETI Discussion Paper Series 15-J-042, 22頁をご覧ください。)。

本件は、独禁法執行が、供給サイドの構造的改革という大きな政策文脈において、重要な役割を担っていることを示唆するもので、「習近平政権の競争政策」を理解する上で非常に重要な素材であることを感じさせます。山西省電力事件も、そうした重要な素材の1つと考えられるため、注目していましたが、8月は中国競争政策論壇等の準備が集中してしまい、本ブログでは未紹介となっています。できるだけ早く紹介したとと考えています。

本日9月30日、1年間過ごした上海を離れ、日本に帰国します。上海交通大学の先生方やスタッフの皆さんには大変お世話になりました。帰国後も、中国独禁法の動きを追いかけていきたいと思います。

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ポリ塩化ビニル価格カルテル事件処分決定(18社合計4.57億元)

2017年9月27日、発展改革委員会は、18社のポリ塩化ビニル製造販売会社による価格カルテル事件について調査処分(制裁金:18社合計4.57億元、1元=約17円のレート換算で約77.69億円)した旨公表しました(18家聚氯乙烯树脂经营者实施价格垄断被依法查处)。価格カルテルの形成・実施の経緯に関する部分を抜粋しますと以下の通りです。

・・・以下、抜粋・・・
2016年3~12月、18社は「西北クロールアルカリ連合体」の名義で、前後6回の会議を開催し、市場状況について交流し、生産量販売量について討論し、かつ微信(ウィチャット)グループメールを通じて13回にわたり価格独占合意を形成し、ポリ塩化ビニルの販売価格を共同して引き上げた。そのうち、湖北宣化集団有限責任公司、中塩吉蘭泰塩化集団有限公司は、それぞれ「秘書長単位」及び「理事長単位」として、「西北クロールアルカリ連合体」の6回の会議を先頭に立って組織し、ウィチャットグループメールを通じて、何度も主導的に価格引上げを提案し、本件において主導的役割を担った。その他の16社は「西北クロールアルカリ連合体」会議に参加し、かつウィチャットグループメールにおいて返信し、上記リーダー2社の価格引上げ提案を支持した。実際の販売過程において、すべての関係企業がいずれも形成された独占合意を実施した。
・・・以上、抜粋おわり・・・

注目点は以下の通りです。

1.国内事業者に関する案件としては比較的大きな億単位の制裁金が課されています。これはポリ塩化ビニルが建築建材、医療機器、家電等と幅広く使われる汎用品であるため市場規模が大きいこと、当該市場の4分の3を占める18社が本件カルテルに参加していたこと等が背景となっています。

2.本件調査は、通報を受けて開始したと紹介されているため、少なくともリニエンシー申請を端緒とするものではないと考えられます。ただ、調査開始後にリニエンシー申請をした企業がいたかもしれません。これは処分決定書が公表されてから、改めて確認したいと思います。

3.抜粋で見られるように、本件では物理的会合において生産量販売量について情報交換がなされていたものの、最終的な価格カルテルはウィーチャットグループメールによって形成されたと認定されているようです。抜粋からは、リーダー企業2社が「この価格まで引上げよう」との提案メールを送ったのに対し、16社が「賛成です!」といった反応を返す様子が生々しく想像されます。ここから思い出されるのは、医薬品ガイドライン案第3条に「独占合意を形成する形式は、明示でも、黙示でもよく、書面、口頭、電子メール、ウィチャットメール、ショートメール等の方式で形成される独占合意を含むが、これらに限られない。」とのかなり具体的な規定が置かれていたことです(2017年9月12日投稿参照)。おそらく、同ガイドラインの起草中に、本件の調査が進行中で、ウィチャットメールによる価格カルテル形成も具体例に加えようという運びになったのだろうと推測されます。

4.公表文では、本件カルテルの問題点として、川下企業のコスト負担の増加、消費者の合法権益の侵害に加え、本件違法行為が市場競争秩序を損ない、市場化、法治化の手段を通じ供給サイドの構造的改革を推進するのにも不利である点が挙げられています。供給サイドの構造的改革は、中国中央政府の重点政策ですが、この用語が独禁法の具体的処分事例に即して用いられたのは、これが初めてではないかと思います。こうしたより大きな政策文脈が独禁法の運用に何らかの影響を及ぼすのかどうか注目していきたいと思います。

昨日27日は短い公表文のみでしたが、本件は発展改革委自身が処分した事例なので、いままでの慣行に照らすと、近日中に処分決定書が公表されるのではと思います。公表されたら、本件のより詳しい内容について紹介したいと思います。

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企業結合審査弁法改正案(続)

2017年9月8日に公表された企業結合審査弁法改正案について続き、というか訂正です。

同日の投稿では、「支配権」の定義に関し、

《企業結合届出に関する指導意見》(2014年6月6日)第3条に盛り込まれていた「支配権」に関する規定が取り込まれ(第6~8条)、かつ若干修正拡充されています(例えば、第7条第5号で取締役会等についても歴史的な表決状況を考慮、下記の第8条等)。

と紹介したのですが、大事な点が漏れており、「若干」修正拡充というのはややミスリーディングでした。

商務部独占禁止局「企業結合届出暫定弁法(意見募集稿)」(2009年1月20日)第3条第1項第2号は、支配権取得の1つの類型として、「他の事業者の 50%以上の議決権付株式又は資産を取得していなくても、議決権付株式又は資産の取得及び契約等の方式を通じ、他の事業者の1名以上の取締役会構成員及び中心的管理人員の任命、財務予算、経営販売、価格決定、重大な投資又はその他の重要な管理及び経営方針等を決定することができること。」を挙げていましたが、2010年1月1日施行の「企業結合届出弁法」では、この規定が削除されました。

しかし、同局が2014年6月6日に公表した届出指導意見第3条第2項は、支配権取得の有無の決定は、「結合合意及び対象企業の定款が重要な判断根拠となるが、これが唯一の証拠ではない。結合合意及び対象企業の定款からは支配権取得が判断できないが、他の株主の分散等の原因から、実際上、当該事業者に事実上の支配権を付与する場合も、支配権取得に属する。支配権を取得するかどうかの判断に当たっては、通常以下の要素を考慮するが、これらに限られない。」と規定し、以下の考慮要素を列挙していました。

(1) 取引の目的と未来の計画
(2) 取引前後の対象事業者の株主構成及びその変化
(3) 対象事業者の株主総会の表決事項及びその表決メカニズム、並びにその歴史的な出席率と表決情況
(4) 対象事業者の取締役会又は監事会の構成及びその表決メカニズム
(5) 対象事業者の高級管理人員の任免等
(6) 対象事業者の株主、取締役の間の関係に、投票権行使の委託、又は一致した行動をする者が存在するか否か等
(7) 当該事業者と対象事業者に重要な商業関係、協力協定等が存在するか否か

2017年9月8日の企業結合審査弁法改正案第6条は、「他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に対し決定的な影響を及ぼすことができるか確定するに当たっては、事業者が他の事業者の表決権又は類似の権益を有する状況、及び他の事業者の高級管理人員の任免、財務予算、経営計画等経営方針決定及び管理に対する影響を考慮しなければならない」と規定しています。この下線部は、上記の2009年「企業結合届出暫定弁法(意見募集稿)」第3条第1項の下線部を(1名以上という基準以外)ほぼ復活させています。実務的には、これらの要因も考慮して支配権の取得が判断されているようですので、実務を大きく変更するというより、それを確認し成文化するものと位置づけるべきかと思います。

今回の弁法改正案第7条は、「他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に対し決定的な影響を及ぼすことができるか確定するに当たっては、取引合意及び事業者の定款等法律文書を主な根拠として、以下の要素を総合考慮する。」と規定し、以下のように上記の届出指導意見とほぼ同じ考慮要因を挙げていますが、指導意見の「(5) 対象事業者の高級管理人員の任免等」は、すでに第6条に挙げられているので、第7条では削除されています。

(1) 取引の目的と取引後の事業計画
(2) 取引前後の事業者の株式構成及びその変化
(3) 事業者の株主総会の表決事項及びその表決メカニズム
(4) 事業者の株主総会の歴史的な出席及び表決情況
(5) 事業者の取締役会、監事会又は類似の方針決定機構の構成、表決事項及び表決メカニズムと歴史的な表決状況
(6) 対象事業者の株主、取締役の間の関係に、投票権行使の委託、及び一致した行動をする者が存在するか否か等の情況
(7) 事業者の間に重要な商業関係、協力合意が存在するか否か
(8) その他の考慮しなければならない要素

以上、訂正及び補充でした。9月8日の速報コメントの方は、この投稿へのリンクを付けつつ、訂正したいと思います。

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医薬品ガイドライン案(続)

昨日の医薬品ガイドライン案の紹介の続きです。

1)事業者団体価格行為ガイドラインとは異なり、①法律リスクのない行為、②法律リスクの比較的小さい行為、③法律リスクの比較的大きい行為、④法律リスクの非常に大きい行為及び⑤法律リスクの極めて高い行為という分類は用いられていません。

2)第1条が定義規定、第2~13条が独禁法関係、第14~17条が価格法関係の規定となっています。

3)第3条に独占合意の方式について規定されています。「独占合意とは、競争を排除し、又は制限する合意、決定又はその他の共同行為をいう。」との独禁法13条2項の規定を再掲した後、「独占合意を形成する形式は、明示でも、黙示でもよく、書面、口頭、電子メール、ウィチャットメール、ショートメール等の方式で形成される独占合意を含むが、これらに限られない。」との具体的な規定が置かれています。従来の関連規定では、工商総局の「工商行政管理機関の独占合意行為の禁止に関する規定」(2010年12月31日公布)第2条第3項が、書面方式と口頭方式が含まれると規定していましたが、メール等の方式について明確に触れたのは、今回が初めてではないかと思います。この点は医薬品以外の分野でも参考になります。ウィチャットメール(微信)が(携帯電話の)ショートメール(短信)よりも前に来ているのは、中国の事情を反映していて興味深いです。

4)第4条は、発展改革委の「価格独占禁止規定」(2010年12月29日公布)第7条の価格独占合意の例示規定を土台に、医薬品市場を念頭に置いた微調整を加えた水平価格独占合意の例示を置いています(例えば、第3号、第5号)。これに加え、第6~9号では、生産量・販売量の限定、市場分割、共同ボイコット、新技術の購入制限等を通じた価格コントロールが例示されており、これは上記の「価格独占禁止規定」にない特徴です。

既に価格カルテルの事例として、1つ前の投稿で挙げた2016年1月のアロプリノール(中国語:别嘌醇片。高尿酸血症、痛風治療薬)価格カルテル等事件(決定書(重慶青陽、重慶大同)同(江蘇世貿天階)同(上海信諠聯合)同(商丘華傑))及び2016年7月のエスタゾラム(中国語:艾司唑仑。鎮静・睡眠薬)原料ボイコット及び錠剤価格カルテル事件(決定書(華中薬業)同(山東信諠)同(常州四薬))があります。市場分割カルテルの事例としては前者、共同ボイコットの事例としては後者を挙げることができます。

要は既に規制事例の中で、本来、工商総局の管轄である非価格独占行為も取り締まっており、独自に制定するガイドラインの中で、それらも「価格独占行為」と性格付けることで、その既成事実を成文化しようとしているように見えます。

5)第5条は独禁法14条の再販売価格維持の規定に、第6条は同15条の適用除外の規定に、それぞれ対応していますが、特に目立った点はありません。

6)第7条は独禁法18条の市場支配的地位認定における考慮要因を再掲していますが、供給不足の医薬品・同原料分野では市場シェアが鍵となると強調している点、市場シェアの評価において、現在の生産能力だけでなく、潜在的な生産能力も考慮できるとしている点が、注目されます。医薬品・同原料分野での市場支配的地位を認定した事例として、1つ前の投稿で挙げた、2017年8月のイソニアジド(中国語:异烟肼。抗結核薬)原料製造販売2社(新赛科、天津漢徳威)不公正高価格設定及び取引拒絶事件(決定書(新赛科)同(天津漢徳威))が参考になります。

7)第8~13条は市場支配的地位の濫用に関する規定です。まず、第8条は不公正な高価格販売等について規定しています。同第1~3号は、上記の「価格独占禁止規定」の第11条の第1~3号(他の事業者の設定する価格との比較、コスト安定時の正常な幅を超える変動、コストの変動幅を超える変動)を再掲しているのに加え、第4号が「同一地域内の異なる時間の価格との比較、及び異なる地域の同一時間の価格との比較」を追加している点が注目されます。これは医薬品以外の領域にも当てはまる考え方であると思われます。医薬品・同原料分野で不公正高価格を認定した事例として、上記6)のイソニアジド原料製造販売2社事件及び2011年11月の山東省血圧降下剤原料不公正高価格販売事件(2011年11月15日プレスリリース)が参考になります。

8)第9条は独占販売(第11条を文脈として解釈すれば、これは取引相手が独占的に販売する権利を得る取引を指すと理解できます。)について規定しています。この規定は、上記4)で触れた第4条と同様、独占販売により「価格をコントロールしてはならない」と規定しています。独占販売を通じ価格をコントロールしたと認定されたと考えらえる事例として、上記7)の山東省血圧降下剤原料事件があります(但し、プレスリリースのみで詳細不明)。これも既成事実の成文化のカテゴリーに入れることができそうです。

9)第10条は、高すぎる販売価格又は低すぎる購入価格による事実上の取引拒絶について規定しています。この類型は既に上記の「価格独占禁止規定」第13条にも盛り込まれていました。取引拒絶の正当化事由として、第1号(取引相手の信用リスク)、第2号(他からの入手可能性等)が挙げられているのは共通ですが、今回の草案では、第3号(取引相手の販売要求(包装、運送、産品特性等)が通常の商習慣に合致しない)、第4号(生産能力不足又は自家消費の必要性)が追加されています。この追加分も、上記3)同様、特に医薬品・同原料に限定されない、一般的に適用可能な正当化事由と理解できます。

10)第11条は、正当な理由がないのに、価格補助、価格リベート等の方式により、自己又は自己の指定する事業者に取引を限定する行為を禁止しています。上記の「価格独占禁止規定」第14条にも対応する規定が置かれていますが、今回はリベートだけでなく、価格補助が追加された一方、正当化事由は例示されていません。

11)第12条は、不合理な費用又は不合理な取引条件の付加について規定しています。例示では、抱き合わせ、価格以外の不合理な費用の附加、下流の製剤業者に対する医薬品の買い上げ要求、販売価格固定、販売地域制限等、医薬品・同原料分野に則した形で具体例が挙げらています。上記の「価格独占禁止規定」で対応する第15条では、このうち価格以外の不合理な費用の附加だけが挙げられていました。それに対し、今回の草案第12条は、「価格をコントロールする」という限定なしで非価格行為を列挙しており(第2~4、6号)、工商総局の管轄領域に踏み込もうという意図がますます明確となっています。

12)第13条は、取引価格等の取引条件での差別について規定しています。上記の「価格独占禁止規定」で対応する第16条では、取引価格上の差別待遇についてだけ触れているのと比べると、やはり非価格行為に踏み出しています。

13)第14~17条は、価格上昇情報のねつ造、散布、価格詐欺等価格法に基づく行為類型が挙げられていますが、第16条で「相互に連絡して、市場価格を操縦する」という価格カルテルと区別のつきにくい価格法の類型が挙がっているので、従来から認識されていた独禁法と価格法の二重規制の問題が浮き彫りとなっています。

概要紹介のつもりで始めたのに、かなり長文になってしまいました。医薬品関係のガイドラインなのに、一般的に参照可能な部分が多かったり、発展改革委の権限拡大志向が如実に現れていたりと、興味深い資料でした。本日はとりあえず、以上とします。

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供給不足の医薬品及び同原料の事業者の価格行為に関するガイドライン案

発展改革委は、2017年8月14日、供給不足の医薬品及び同原料の事業者の価格行為に関するガイドライン案(意見募集稿)を公表し、意見募集を開始しました(意見提出期限は同年9月13日)。

このガイドラインも、2017年7月に制定された事業者団体の価格行為に関するガイドライン同様、発展改革委独自のガイドライン(根拠規定も独禁法だけでなく、価格法が挙げられています)なので、比較的迅速に制定されるのではと予想できます。

医薬品や医療品は、国民生活に直接影響する分野であるため、中国政府、とりわけ発展改革委はここ数年、重点分野として、同分野の価格行為等に対する監督管理を強化していました(例えば、2015年5月4日付け《关于加强药品市场价格行为监管的通知(发改价监〔2015〕930号)2016年5月《关于在全国开展药品价格专项检查的通知》(发改价监[2016]1101号))。

最近、発展改革委や工商総局が独禁法違反で取り締まった医薬品・医療品関係の事件を挙げてみれば、以下の通りです。

(発展改革委)
2016年1月 アロプリノール(中国語:别嘌醇片。高尿酸血症、痛風治療薬)価格カルテル等事件(制裁金:合計約400万元)2016年1月28日プレスリリース決定書(重慶青陽、重慶大同)同(江蘇世貿天階)同(上海信諠聯合)同(商丘華傑)

2016年7月 エスタゾラム(中国語:艾司唑仑。鎮静・睡眠薬)原料ボイコット及び錠剤価格カルテル事件(制裁金:合計約260万元)2016年7月27日プレスリリース決定書(華中薬業)同(山東信諠)同(常州四薬)

2016年12月  米メドトロニック上海(中国名:美敦力)医療器械(心臓血管、修復治療、糖尿病分野)再販売価格維持事件(制裁金:約1.185億元)2016年12月7日付プレスリリース決定書

2017年7月 イソニアジド(中国語:异烟肼。抗結核薬)原料製造販売2社(新赛科、天津漢徳威)不公正高価格設定及び取引拒絶事件(制裁金:それぞれ約29万元及び約15万元)2017年7月31日プレスリリース決定書(新赛科)同(天津漢徳威)

※少し古いですが、2011年11月 山東省血圧降下剤原料不公正高価格販売事件もありました。2011年11月15日プレスリリース(两医药公司垄断复方利血平原料药受到严厉处罚)
←なお、この時期は決定書が公開されていませんでした。

(工商総局)
競争法執行公告2015年第12号 重慶青陽薬業有限公司エスタゾラム原料取引拒绝事件(2015年12月22日)重慶市工商行政管理局決定書2015年10月28日)(制裁金:約44万元)

競争法執行公告2016年12号 重慶西南製薬二廠有限责任公司サリチル酸フェノール(魚の目絆創膏)原料取引拒絶事件(2016年12月12日)重慶市工商行政管理局決定書2016年11月24日)(違法所得没収:約48万元、制裁金:約1.7万元、合計約50万元)

競争法執行公告2017年4号 武漢新興精英医薬有限公司サリチル酸メチル(冬青油)原料供給に関する不合理条件附加事件(2017年2月10日)湖北省工商行政管理局決定書2017年1月11日)(違法所得没収:約184万元、制裁金:約37万元、合計約220万元)

以上だけでも、医薬品分野が頻繁に規制対象となっていることが分かると思います。また、発展改革委は価格独占行為担当ですので、不公正高価格設定と性格付けて取り締まるのに対し(例えば、2011年の血圧降下剤原料事件、2017年の抗結核薬原料事件)、非価格独占行為担当の工商総局は同じような事件でも取引拒絶や不合理条件の事件として取り締まるという、中国独禁法ならでは現象が起きており、その観点からも医薬品関係事件は興味深い研究対象です。

商務部の企業結合審査の案件でも、以下の通り、医薬・医療分野は結構重視されている印象があります。

2010年8月13日付けノバルティスによるアルコンファーマ買収条件付承認決定(水平、行動)

2013年8月8日付けバクスターによるガンブロ買収条件付承認決定(水平、構造)

2016年12月30日付けアボットによる セント・ジュード・メディカル買収条件付承認決定(水平、構造)

※バイオテクノジー関係で、2014年1月14日付けサーモフィッシャーによるライフテクノロジーズ買収条件付承認決定(水平、構造・行動)

横道にそれて、今回の薬品ガイドライン案の背景の話しばかりとなってしまいましたので、ガイドライン案の中身の話しは、また別の投稿にしたいと思います。

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中国独禁法改正の動き(反不正当競争法改正動向も含む)

2017年8月1日付けの投稿で、中国独禁法改正の動きがあることを紹介しましたが、9月初旬、中国政法大学において同改正に関する研究会が開催されました(2017年9月6日付け発展改革委記事)。

この記事では抽象的な話しばかりで、何が課題となっているか一向に分かりませんが、法執行体制のあり方(つまり執行当局の統合の可否)といった機構面・手続面に加え、実体面も含まれているようです。

制裁金、リニエンシー制度、企業結合審査制度のあり方等も議論の対象となっているようですが、具体的にどのような提案が検討されているかまでは漏れてきません。

ただ、独禁法制定直後から必要性が認識されていた反不正当競争法改正が、10年後の2017年になって、ようやく全人代常務委員会での検討段階に入ったことを考慮に入れると、独禁法改正も5~10年単位の話しになりそうな気がします。

反不正当競争法改正草案については、2017年2月24日に全人代常務委員会で第1回の審議が行われ、2月26日から3月25日まで意見募集に付されましたが、さらに8月29日、同委員会にて第2次審議稿が議論されました(法制日報2017年8月29日第2版人民日報2017年8月29日第2版人民日報2017年8月30日第4版)。同審議を受け、9月5日、第2次審議稿が公表され、意見募集に付されました(意見募集期限は9月24日)。うまくすると年内制定もあるかもしれません。

反不正当競争法改正については、独禁法関係で大変興味深い動きがありました。それについては別の投稿を予定しています。

 

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知的財産濫用ガイドライン制定とその後

中国の知的財産濫用ガイドラインについて、2017年中の制定が予定されていることは、既に紹介しました(2017年7月11日投稿)。第6回中国競争政策論壇やその後の取材で、今年中の制定が危ぶまれているとの噂を聞きました。その主な要因として、8月14日のトランプ大統領の指示を受けた、同18日の米国通商代表部による中国知的財産保護や技術移転要求に関する通商法301条調査開始が指摘されています。

中国の知的財産濫用ガイドライン案(その制定過程からスピンオフして制定された2015年工商総局規定を含む。同第7条参照)では、一貫してライセンス拒絶の規定が置かれており、今回の統合案(2017年4月1日投稿)第15条では、2016年2月の工商総局案(2016年2月5日投稿)第24条にあった「とりわけ知的財産権が生産経営活動の不可欠な施設を構成する場合」という不可欠理論への言及(上記工商総局規定第7条も類似の言及あり)も採用されています。標準必須特許に関し、権利者が「公正、合理的かつ無差別の条件(FRAND)」でのライセンス約束をしている場合、ライセンス拒絶が競争法違反になり得るというのは、日本の知財利用ガイドライン2016年改正も含め、多くの主要国でほぼコンセンサスがありますが、非標準必須特許についても、ライセンス拒絶が競争法違反と判断されるか、どういう基準でそう判断されるのかという点は、議論が分かれる争点です(まさにその点が争点となっている中国における独禁法関係訴訟の具体例として、日立金属事件があります。拙稿「中国におけるライセンス規制-独占禁止法による知的財産権濫用規制を中心に-」国際貿易投資研究所編『平成28年度 主要国のライセンス規制等の最新動向』98-99頁参照。)。

中国の知財濫用ガイドライン案第15条では、ライセンス拒絶が支配的地位の濫用を構成するかどうかの考慮要因として、まず、

(1) 権利者が当該知的財産権のライセンスに対し行っている約束

が挙げられており、FRAND約束をしていれば、濫用と認定されやすいと予測可能ですが、さらに、同条柱書の上記の「不可欠な施設を構成する場合」という文言に加え、

(2) 他の事業者が関連市場に参入する上で、当該知的財産権のライセンスの取得が必須であるか否か

も考慮要因に挙がっており、全体として必ずしも標準必須特許の場面に限定されているようには解釈できません。こうしたガイドライン案に対し、米国法曹協会(ABA)等は一貫して、反対意見をインプットして来ています(例えば、上記拙稿74頁注23参照)。

当初、年内制定が簡単ではなくなったとの噂を聞いた時、

1)2017年6月28日公表の国務院知的財産権戦略実施工作部際(=省庁間)会議弁公室「2017年国家知的財産権戦略実施・知的財産権強国建設推進計画」が年内制定と明記していること、

2)同制定過程に関与した方が微調整のみで年内に制定されるとしていること、

から、そう簡単には動かないだろうと思ったのですが、その後、中国独禁法の実務に詳しい弁護士さんから、米国が301条調査を進めている際に、わざわざ上記のような米国を刺激するような規定を含むガイドラインを制定するのか、知的財産権に関する計画より米中関係の方が重要と判断するのではないかとの意見を伺って、なるほどそういう可能性も排除できないかと考え始めました。

国際貿易関係で潜在的な紛争があっても、「途上国の代表、途上国との連帯」という外交方針を優先して、途上国に対するWTO提訴を控えている国ですので、専門分野における方針が、より大きな戦略判断で覆される事態も確かにあり得ると、上記の意見にかなり説得力を感じてしまった次第です。この意見の線で進むとなると、1年も続く301条の調査の間、ガイドラインが制定できなくなってしまうのですが・・・さてさて、同ガイドラインの行方、どうなりましょうか。

なお、第6回中国競争政策論壇で私と同じセッションで報告された発展改革委の処長さんは、既にガイドライン制定後を見据えて、特に標準必須特許のライセンスに焦点を当てた細則を迅速に制定する必要があると指摘していました。そうした計画については初耳でしたが、今回のガイドラインは独占禁止委員会名義の統一ガイドラインですし、予測可能性が十分でない点も多々あるので、その内容に沿った範囲で、各執行当局が細則を作ることは確かにあり得る話しです(工商総局の場合、順番が逆で、ガイドラインの前に、規定を作ってしまったのですが・・・)。

ガイドラインが年内に制定できるか、制定後にさらに標準必須特許ライセンス関係の細則がスムーズに制定できるのか、今後も注目していきたいと思います。

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企業結合審査弁法改正案(意見募集稿)

本日2017年9月8日朝、商務部が企業結合審査弁法改正案(意見募集稿)を公表しました。意見募集期間は10月9日までです。お蔭で本日は二度目の投稿です。

1)従来、企業結合届出弁法(中華人民共和国商務部令2009年第11号)企業結合審査弁法(同2009年第12号)に分かれていたものを1つの弁法に統一しています。今回の弁法が制定されれば、従来の2つの弁法は廃止されます(第54条)。

2)第31~35条に簡易案件に関する規定が置かれています。しかし、第31条で《企業結合簡易案件適用標準に関する暫定規定》(2014年2月11日)を引用しているため、同暫定規定の内容は、今回の弁法に取り込まれず、今後も適用されると理解できます(ただし、一部取り込まれています。本草案第34条の簡易案件取消事由は暫定規定第4条と同じ内容)

3)《企業結合簡易案件届出に関する指導意見(試行)》(2014年4月18日)の内容が一部、上記第31~35条に取り込まれていますが、すべてではないので、今後も同指導意見をあわせて参照する必要があります。

4)従来の届出弁法には、「支配権」の定義に関する規定はありませんでしたが、今回、《企業結合届出に関する指導意見》(2014年6月6日)第3条に盛り込まれていた「支配権」に関する規定が取り込まれ(第6~8条)、かつ修正拡充されています(例えば、第6条に「他の事業者の高級管理人員の任免、財務予算、経営計画等経営方針決定及び管理に対する影響を考慮」の文言を導入、第7条第5号で取締役会等についても歴史的な表決状況を考慮、下記の第8条等)。(← 本段落は2017年9月13日訂正しました。オリジナルの文言及び訂正の背景については、同日付投稿をご覧ください。)

5)4)との関連で、第8条に、同じ事業者が、多くの取引を通じて、同時に又は連続して支配権を取得し、関係取引が法律上又は事実上、互いに条件の関係にある場合、1つの結合とみなす旨の規定が導入されています。上記指導意見第8条にも、類似の規定(2年内に複数の取引を分割して実施し、売上高基準を潜脱することを防止するため、合算する旨の規定)が置かれていましたが、本草案第15条にこれと同一の規定が置かれているので、本草案第8条は、売上高基準の潜脱防止とは異なる趣旨で設けられていると理解できます。
この規定で思い出されるのが、キャノンによる東芝メディカル買収に対し未届出実施であったとして行政制裁金が課された決定です(2017年1月4日公表)。その際は、第1段階で、第三者のペーパーカンパニーが支配株式を、キャノンが新株予約権をそれぞれ取得し、(独禁法審査終了後の)第2段階で、キャノンが予約権を行使し、東芝メディカルが支配株式を買戻し償却するというスキームが、1つの取引であると見なされ、届出前に第1段階が行われたことが、「未届出実施」と判定されています。その処分決定が「2つの段階は密接に関係し、キャノンの100%株式保有のための不可分の構成要素であった」と述べているのと、上記の「関係取引が法律上又は事実上、互いに条件の関係にある場合」とは、ほぼ同しことを言っているように理解できるため、本草案第8条は、キャノンの処分決定等の経験を土台に導入された規定と理解するのが妥当であるように思います。この点は、現在問題となっている東芝メモリーの売却に影響を与える、実務的に重要な論点です。

これ以外にも、従来の審査弁法との異同など、もう少し精査する必要がありますが、当日速報としては以上です。

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第6回中国競争政策論壇(続)(企業結合審査)

1つ前の投稿で紹介した第6回中国競争政策論壇の当日の模様は、法執行機関担当官の発言を中心に、法制日報2017年9月1日第6版でも紹介されています。商務部独占禁止局局長の発言だけ抜粋しますと、

独禁法施行以来、商務部が審査を終結した案件は合計1936件、条件付承認が30件、禁止が2件。2017年、商務部が受け取った(企業結合)届出264件、立件231件、審査終結232件、条件付承認2件、そのうち国際的な案件の比重は60%以上

とのことです。2017年8月末現在の条件付承認2件とは、以下の2件です。

  1. ダウ・ケミカル及びデュポン合併(商務部2017年25号公告、2017年4月29日)
    企業結合タイプ(市場):水平型(水稲用除草剤、同殺虫剤、酸コポリマー、アイオノマー)
    問題解消措置:構造型、行動型(合理的価格での提供義務等)
  2. ブロードコムによるブロケード・コミュニケーションズ・システムズ買収(商務部2017年46号公告、2017年8月22日)
    企業結合タイプ(市場):非水平型(光通信交換機、同アダプタ)
    問題解消措置:行動型(互換性維持、ファイアウォール、抱き合わせ禁止等)

2012~2014年、比較的頻繁(年4~6件)に条件付承認決定(2014年は禁止決定も1件を含む)が下されたのに比べると、2015年は、未届出実施に対する処罰決定は多数あったものの条件付承認はゼロ、2016年は2件のみ、今年もこれまでのところ2件(平均年2件程度)と、介入の頻度が減っているような印象があります(商務部の決定については、こちら)。これは何故なのかも1つの研究課題です。

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