ポリ塩化ビニル価格カルテル事件処分決定書公表

国家発展改革委員会は、2017年10月16日、ポリ塩化ビニル価格カルテル事件の処分決定書(国家发展和改革委员会行政处罚决定书〔2017〕3~20号)を公表しました。

カルテル組織者と認定された2社の決定のみ直リンクを貼ります。

湖北宜化集団有限責任公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕3号)
中塩吉蘭泰塩化集団有限公司(国家発展和改革委員会行政処罰決定書〔2017〕4号)
(その他はこちらからどうぞ

18社に対する決定書は、いずれもPDFにすると2ページ程度の簡単なものです。上記でリンクを貼ったカルテル組織者については2016年度関連市場の売上高の2%の制裁金、他の16社は同1%の制裁金が課されているのは、既報(2017年9月30日投稿)のとおりです。いずれについても「調査過程で積極的に協力し、事実をありのままに陳述した」と認定されており、その点も考慮して1~2%の課徴金が算定(独禁法49条)されています。

カルテル形成過程と実施態様(価格引上げ幅等)はかなり具体的に認定されており、例えば、各カルテル参加者がウィーチャットグループメールを通じての言動(組織者が価格執行表を送って提案した、その他の参加者が「価格OKです」、「皆さんの意見を支持します。一致して行動しましょう!」等と反応した)が、生々しく記載されています。処分書によれば、物理的な会合で価格についても議論したようですが、最終的にウィーチャットメール等の電子通信の方式でカルテルを形成したと認定されていると理解できます。

なお、名宛人の一部(処分書番号第第4、6、8~13号)は陳述・抗弁をしていますが、いずれもしりぞけられています。例えば、第11号の新疆中泰化学は、自社の価格は市場規律によって主導されており、関係スタッフがウィーチャットグループメールで発言したのは個人の行動であると抗弁しましたが、発展改革委は、同人は同社の主要な責任者であり、その発言は職務行為に属するとして、抗弁をしりぞけています(第8号の鳥海市本原経貿についてもほぼ同様のやり取りあり、第6号のオルドス市君正能源化工については類似のやり取りあり)。

前の2つの投稿(2017年9月28日同30日)では、本件処分が「供給サイドの構造的改革」という大きな政策文脈に位置づけられていることを紹介しましたが、処分書自体にはその点の言及は出てきませんでした。

10月より神戸大学に復帰しました。引き続きよろしくお願いいたします。

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